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過労死が怖い理由 その3 兄が死んだ
Tue.08.05.2012 Posted in 過労死
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翌年、兄は他の部署へ異動しました。

新しい部署は前の部署と違い、残業はそれほど厳しくなくて、チームワーク重視のところだと兄は言っていました。
帰宅時間も、前の職場ほど遅くなることもないとも聞きました。
新しい職場のほうが、兄の性格によく合っていると思い、私は嬉しく思いました。

しかし兄は、入社2年目にして異動した自分を不甲斐ないと感じていたようでした。
新しい職場は、確かに役職者や上長たちが揃って遅くまで残業する職場ではありませんでした。
しかし兄はどこか引け目を感じていたのか、朝は誰よりも早く、夜も遅くまで職場にいました。
『兄ちゃん、マイペースでやったら?最初から力まないほうがいいって』
私はそう言うしかありませんでした。
兄も『そうだね、気を付けるよ』と生返事をするしかありませんでした。

私たちが社会に出てから2年目の夏がやってきました。

ボーナスが出た後、私はまた嫌味を言われました。
黙って受け流したのですが、家に帰って少し悲しくなりました。
ちょうど金曜日だったので、帰宅した兄に、
『兄ちゃん、明日どっか遊びに行かない?』
と持ちかけました。
兄も賛成してくれました。
『そうだね、たまにはいいか』

土曜日。
その日は朝からよく晴れ、熱く乾いた風が吹く日でした。
11時ころ起きた私たちは、午後から遊びに行くことにしました。
その前に腹ごしらえをしようと思いました。
起き上がって物憂げにタバコを燻らす兄。
私は久々に兄と出かけることが嬉しくて、はしゃいでいました。

『兄ちゃん、味噌ラーメンにする?それか、醤油ラーメン?』
『どちらでもいいよ、任せる』

それが私と兄との最後の会話でした。



5分ほどして、お湯が沸きました。
再び、兄に声をかけたとき、兄の呼吸はすでに止まっていました。



救急車が来るまでの時間が、永遠のものに感じられました。

蘇生処置を施す救急病院の先生の額から、飛び散る汗の粒。
『ご臨終です』の声がやけに遠くから聞こえる気がして、それでも深々と頭を下げた自分の姿。
病院の窓から見えた、風に揺れて夏の日に輝く緑の眩しさ。


通夜から葬儀、そして火葬の瞬間まで、私は信じていました。
兄が、
『な~んちゃって!』
と、がばっと起き上がり、
『ほんとにオマエはすぐに騙されるねぇ~』
と、いつものように笑うところを。


ですがついに、兄が起き上がることはありませんでした。


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comments

はじめまして、私「年に負けない!興味あるあるブログ」を更新しています、林田と申します。
いつもブログを拝見させてもらっております^^
もしよろしければ、相互リンクお願い致します。
それでは失礼致します。

Re: タイトルなし

林田様

ご訪問いただき、ありがとうございます。
ブログ、早速拝見いたしました。
いろいろとお役立ちな情報が載っていて、雰囲気の良いブログですね!
時々寄らせていただければと思います。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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まとめtyaiました【過労死が怖い理由 その3 兄が死んだ】

翌年、兄は他の部署へ異動しました。新しい部署は前の部署と違い、残業はそれほど厳しくなくて、チームワーク重視のところだと兄は言っていました。帰宅時間も、前の職場ほど遅くなることもないとも聞きました。新しい職場のほうが、兄の性格によく合っていると思い、私は...


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