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過労死が怖い理由 その2
Wed.22.12.2010 Posted in 過労死
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一方私のほうは、入社してすぐ、職場(今の会社です)に違和感を感じ、うまく馴染めずに毎日泣きそうな思いをしていました。
大卒ですので初任給が他の若手社員より少し高かったこと、にもかかわらず、大学での専攻の関係とはいえ配属先が分析などの軽作業部門だったことなどについて、現場の社員たちから毎日のように嫌味や小言を言われていました。

それで時々兄に愚痴ったりワガママを言う日もありました。
今にして思えば、兄のことなど深く思いやりもせず、自分のことだけしか見えていなかったのです。

入社して夏のボーナスをもらった後、勤続3~4年くらいの現場の若手社員たち7名が、一斉に辞める事件が起きました。
彼らの上長たちがびっくりして理由を聞いたところ、
『3K職場が嫌になった』。
ただ、そのうちの一人が
『今年入った新人は軽作業しかしていない、なのに勤務年数の長い自分たちよりも月給が高いのはおかしい』
とこぼしたそうです。

私の上長にもそのことが伝わり、彼がすごい勢いで飛んできて、顔を真っ赤にして怒鳴りました。
『お前なんか雇ってやったせいで7人も辞めたんだよ!
知ってんのかおい!
お前なんか存在自体が迷惑なんだよ!!
お前が辞めれば良かったんだよ、役立たずがっ!!』

今の私だったら、
『私の給与については、そちらで決めたことでしょう?私に言われても困ります』
などと反論したでしょう。
ですが、入って3ヶ月もしない新人にそんなことができるわけもありませんでした。

その翌日、私はどうしても職場に行きたくなくなり、兄に泣き言を言いました。
『兄ちゃん、今日はどうしても会社に行きたくない。もう休みたい』
言っているうちに、涙がぼろぼろこぼれてきました。
泣きながら昨日の出来事を兄に全て話しました。
兄は黙って聞いていました。

『わかった。俺も今日は付き合うから、二人でのんびりしよう』

その日は、梅雨が明けたばかりの暑い夏の日でした。

私たちは郊外へ行き、釣りをしました。暑かったけど、二人で一日中、肩を寄せ合うようにして太陽の下にいました。
風が吹いて木々が揺れていたのをはっきりと覚えています。

私たちは小さな魚を釣り上げました。
でも、その魚はもう死んでいました。
『釣り針が太すぎるんだ』
と兄は言いました。
自分の口では呑みきれないほどの太い針に食いついてしまったため、口が裂けて死んでしまったのでした。

私たちは、その魚を針から外し、水面にそっと返しました。
魚は、灰色の水面をいつまでもゆらゆらと漂っていました。
私たちはただそれを、無言で見つめていました。

あの魚は、太すぎる針に裂かれて死ぬために、生まれてきたのでしょうか?
社会に溶け込めない未熟な人間二人の、はけ口としてもてあそばれる為に生まれてきたのでしょうか?

私たちは無意識のうちに、これからの運命を死んだ魚の中に見ていたのかもしれません。

何も無い、ただ一日黙々と魚を釣っていただけの一日でしたが、私にとっては、一生忘れない最高の思い出でした。


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